タバコ屋の女、とは
ひとり暮らしを始めるにあたり、もう一つアルバイトを増やさなければ生計を立てられないと考え、タバコ屋のアルバイトを始めた。タバコも好きだし、時給も高かったので応募した。
基本的に早番を担当することになった。夜に自分の時間が欲しかったわたしは、早番でありがたいなぁと思いながら初出勤の日を迎える。ここでわたしは隠された真実を知ることになる。
まず、立地的に夜の街なので昼間は圧倒的に客が少ない(コロナの影響ももちろんあるが)。それに加えて早番は1人。話す相手もおらず、死ぬほど暇なのである。レジや品出し以外にやることも特にない。研修を終えてひとり出勤を始めてから2日目には、もうわたしの心は死んでいた。
このままではいけない、何か楽しみを見つけなければ。そう考え、「タバコ屋お客さんデータ」を作ることにした。うちのお店は常連さんも多いから、銘柄を覚えるにもちょど良いと考え、毎日更新している。
【タバコ屋お客さんデータ】
・学校の先生だろうか?Vネックセーターがよく似合う背の低い30代男性
→セブンスターソフト
・ジムに行っているショートの姿勢の良いおばさん
→メビウスワンロング
・ガングロおじさん
→ブラックメンソール8ミリ
・どう見ても淡白なおじさん
このようにメモに残している。
この作業を始めてから、少しだけ心が楽になった。メモ帳一冊書き終えるまで煙草屋を続けているかどうかは、不明。